TRAKTORの使い方(12) 当たり前のようで当たり前なSYNC機能

ようやくここに来ました、PCDJにおいての心臓部となるシンク機能です。

PCDJはこのために開発されたといっても過言ではないでしょう(多分)。とはいえ、特に理解が無くても先に進めるところですので実のところ飛ばしてしまっても問題はありません。

セオリーとしては一番最初に書いた方が良いとも思うのですが、SYNC機能はビートグリッドへの理解がないと意味がよく分からないもののでこの順番となりました。ビートグリッドについては第7回くらいに書いていますのでそちらを参考にされて下さい。

・Tempo SyncとPhase Sync

では早速ですがSync機能についての話をしていきましょう。

Sync機能は「曲を揃える」機能です。これについては今更書くようなことは無いでしょうが、このSync機能は厳密に言えば「Tempo Sync」と「Phase Sync」の2つで構成されています。まずはこの違いから理解していきましょう。

まずはTempo Syncですが、これは「曲の再生速度」を変える機能です。


例えば、BPM120の曲にBPM130の曲を合わせる場合はBPM130の曲の方が遅く再生されてBPM120にフィットするテンポまでスローダウンします。Tempo Syncは分かりやすいのでこれに疑問は持つことは無いはずです。

次にPhase Syncですが、これは「曲のフェイズ」を揃えます。要するに曲のグリットを揃える機能ですね。

分かりやすくするためにBPMが同じ曲で考えてみましょう。

この場合はBPMが等しいのでテンポを揃える必要はありません。そうなると「どの位置」で合わせるかということになりますが、この場合に関係してくるのがPhase Syncです。Phase Syncが有効だと自動的にグリッド線に同期するので「リズムの頭がズレる」ということを防ぐことが出来ます。

しかしながら、これは逆を言えば『Phase SyncがONになっていると必ずグリッド線で同期してしまう』ということでもあります。ミックスの手法には「裏打ち」と呼ばれる1/2拍ズラして混ぜ合わせる手法がありますが、こういった場合ではむしろPhase Syncがあると邪魔にしかなりません。

そのようなわけで、TRAKTORでは『Sync具合』を分けて設定できるわけですね。

具体的には「Tempo Syncのみの状態」と「Tempo SyncとPhase Syncを併用している状態」に分かれており、Tempo SyncとPhase Syncを併用している状態を「Beat Sync」と呼ぶようになっています

これは各個人がどのようなプレイをするのかということで決まるので正解があるわけではありません。ミックスのしやすさという意味ではBeat Syncの方が上になりますが、Beat Syncは波形とグリッドが揃ってないといけませんのでその分下準備が大変になります。
 
個人的にはTempo Syncで十分ではないかと思います。Phase Syncが無くてもスナップやクオンタイズを使えば十分に対応できますからね。

スナップはクオンタイズの精密版のような機能です。デフォルトではONになっており、クオンタイズの左にある「S」でON/OFFが出来ます。


本当はまだ書かなければならないことがあるのですが、切りが良いのでここで一旦分割しておきましょう。次回はSYNC機能の続きですが、もう少し役に立つ(?)ようなことを書いていこうと思います。
 

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