Ableton liveのセッションビューとアレンジメントビュー ①

Ableton liveの基本でありながら中々にとっつきにくいものがあるセッションビューとアレンジメントビューです。

要素がたくさんあるので何から書き出せばいいのか難しいところなのですが、まずはセッションビューとアレンジメントビューの違いについて抑えるべきでしょう。


セッションビューとアレンジメントビューに"差"は無い

いきなり的外れなことを書くようですが、セッションビューとアレンジメントビューの差は無いものと考えていたほうが最終的な理解が早いのではないかと思っています。

一般的(?)には「セッションビュー≒ライブパフォーマンス用」「アレンジメントビュー≒通常DAW」とされています。これはもちろんそのとおりですし、用途としてはきっちりと分かれている部分です。

では何故『差は無い』と考えていたほうが良いのかといいますと、ほとんどの場合でセッションビューとアレンジメントビューは同時進行的に使っていくことになるからです。

実際に行う作業はセッションビューでもアレンジメントビューでもさほど変わりませんし、セッションビューとアレンジメントビュー間のデータ移動もフレキシブルに行えるようになっています。例えるのであれば、かたちの違うまな板が2つあるようなものといえばよいのでしょうか。食材によって切る場所をちょっと変えるようなものです。

Ableton Liveを使われる方のほとんどが「柔軟なライブパフォーマンス」を目的にされている方だと思われます(※作曲性を重視される方はLiveを選ばないでしょう)。

そのためどうしても最初は『セッションビューを使うこと』が先行してしまいがちになってしまうのですが、セッションビューだけでトラックメイクを行うのは効率が良いとはいい難いものがあります。

セッションビューを活かすためにはアレンジメントビューが必要であり、アレンジメントビューを活かすためにはセッションビューが必要です。最初のうちは違和感があるかもしれませんが、そのうちこの「ビュー間の差」は感じなくなってくるはずです。

セッションビュー・アレンジメントビューの得意/不得意

…とはいえ、セッションとアレンジメントは別のものであるのでそれぞれ得意とするものが違うのも事実です。

Ableton Liveの代表的な操作についてそれぞれのビューの得意・不得意をまとめたものが下になります。文章としてかなり長くなってしまうのですが、最低限目を通すべきではないかと思われる要素です。

・ライブパフォーマンス

セッションビュー→◎
アレンジメントビュー→○

この部分に関しては言わずもがなだとは思いますが、リアルタイムのパフォーマンスではセッションビューが優れています。あらゆるクリップに自在に移動することができ、ループの長さも手軽に変更できる利便性はアレンジメントビューを大きく上回ります。

しかしながらアレンジメントビューの状態でもライブパフォーマンスが出来ないということはありません。記録しておいたロング・ミックスをそのまま流してもよいですし、アレンジメントビューの状態からでもループ再生は可能です。

ただ、この場合はセッションビューにおいての『シーン再生』に近いものとなってしまうため、セッションビューのようなフレキシブルなミックスはできません。

とはいえ、この場合において自由に移動できないことが必ずしもデメリットとなるとは限りません。シーン間の移動であれば「まず失敗はしない」ので慎重なミックスが必要となる場合はアレンジメントビューの方が向いていることもあるでしょう。実際に、作りこみから全部アレンジメントビューで行っている方も少なくないようです。

実際のところ、セッションビューとアレンジメントビューを交互に切り替えたり、パート全体ではアレンジメントのシーンを再生しながら部分的にセッションビューのクリップを再生するということも可能なので、この二つを明確に分ける必要はありません。

・最終的なオーディオファイル化(※ミックスダウン・ロングミックスの作成)

セッションビュー→×
アレンジメントビュー→○

専門用語でいうところのミックスダウンというやつですね。セッションビューからは作成出来ないこともないのですが、極めて非効率になってしまいますので「出来ない」と見なしても問題ないでしょう。長時間のミックスも・通常の作曲作業においても同様です。

・部分的なオーディオファイル化

セッションビュー→○
アレンジメントビュー→○

ここの部分はユーザー間で意見が分かれそうな気もします。

部分的なオーディオファイル化というのは「パラアウト出力」のことを指します。ミックスにおいては素材であるオーディオファイルはある程度分割されていた方が便利なので『どの単位・長さでオーディオ化を行うか』は非常に重要です。

人によっては4小節くらいで厳密に行う場合もあるでしょうし、数十秒のループ、あるいは曲ごとに行う場合もあるでしょう。

パラアウト出力はセッションビューからでもアレンジメントビューからでも行えます。この辺りは最早好みになってしまうのでしょうが、ビジュアルイメージとしてはセッションビューの方が感覚的に分かりやすい部分です。

しかしながらアレンジメントビューから出力したほうがアグレッシブなフレーズを作りやすいです(※下記のオートメーションが関係してきます)

・オートメーションの効率

セッションビュー→△
アレンジメントビュー→○

オートメーション(※シンセのパラメーターやエフェクトの動きを記録すること)はDAWの音楽制作において非常に重要です。これを行う/行わないで曲の雰囲気どころか最終的に出来上がるものが大きく違います。

アレンジメントビューは基本的には『セッションビューを記録するもの』ですので、その性質上オートメーションに関してはアレンジメントビューの方が優れていると言って差し支えないでしょう。もちろんセッションビューのクリップにオートメーションを書き込むことは可能です。

セッションビューとアレンジメントビューは交互に使うもの

例えばオートメーションを書く場合について考えてみましょう。セッションビューでは1小節のフレーズでもアレンジメントに記録していけば無限の長さまで伸ばすことが出来ます。

オートメーションはセッションビューのクリップに書くやりかたもありますが、アレンジメントにオートメーションを記録してから出来上がったものの『気に入った部分だけ』を再びセッションビューに戻してしまえば効率的に良いパターンを作ることが出来ます。

このようにセッションビューとアレンジメントビューはお互いをフォローしあうように作られています。これらを的確に使えるようになることがエントリーユーザー脱出の第一歩ではないかと思います。

<関連記事>
・Ableton liveのセッションビューとアレンジメントビュー ②
http://furamika.blogspot.jp/2016/07/ableton-live_18.html

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http://furamika.blogspot.jp/2016/07/ableton-live_96.html
 

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