Ableton Liveの内蔵音源を学ぶ ②

前回の使い方に引き続いている内容です。今回はそれぞれの音源がどのようなものか見ていきます。バージョンはlive9を元にして書いていますので、それ以降であれば数が異なります。


Ableton Liveの内蔵音源の種類について

11個の「Instruments」を簡単にまとめると以下のようになります。

(1)Analog → 普通のアナログシンセサイザー
(2)Collision → 打撃音を作るシンセサイザー
(3)Drum Rack → サンプラー、多用途ツール
(4)Electric → クラシックな音を作るシンセサイザー、エレクトリックピアノ
(5)External Instrument → 外部から音を引っ張ってくるツール
(6)Impulse → 簡単的サンプラー
(7)Instrument Rack;→ 音源複合(?)ツール
(8)Operator→ FM音源シンセサイザー、電子音
(9)Sampler;→ 高機能サンプラー
(10)Simpler;→ 標準的サンプラー
(11)Tension→弦楽器の音を作るシンセサイザー

バランスとしては「音源半分、サンプラー半分」といった割合ですね。

(1) Analog

最も基本的な構造のシンセサイザーです。

2つのオシレーター・LFO・フィルター・エンペローブ・アンプという機能が入っています。要するに世間一般で言うところの「普通のシンセ」です。

アナログシンセサイザーの構造はどれも共通しているので「シンセサイザーの音作り」といった解説本や他のソフトウェア音源の解説サイト等の説明をそのまま流用できます。有名なフリーソフトシンセである「Synth1」も同じ構造(2つのオシレーターと基本的なパラメーター+エフェクト)をしています。


最も効率的にAnalogを学ぼうとするならSynth1の解説動画やサイトを見るのが効率的でしょうか。ただ、Analogは構造こそ同じですがレイアウトが独特であるので、何処にどのパラメーターがあるのかちょっと分かりにくかったりします。

DAWソフトを使うのであればほぼ間違いなく様々なソフトウェア音源(VSTiと呼ばれるもの)を追加していくことになると思います。アナログシンセは最も基本的なシンセサイザーですので遅かれ早かれ学ぶ必要が出てくるように思います。

(2) Collision

Liveオリジナルのソフトウェア音源です。コリジョンとは「衝突」という意味ですね、衝突というとオーバーですが「打楽器系」に特化したシンセサイザーです。Liveオリジナルのため「Analog」と比べると専門的な要素が強いです。


まずオシレーターの選択がありません。「Collision」は既にオシレーターが選択されている(MalletとNoise)ため、これらの設定を変えて音を生成していくことになります。オシレーターの選択から音作りを開始する「Analog」に比べてより深く精密な作業が要求されています。

(3) Drum Rack

Liveの目玉機能である「Drum Rack」です。

使用する方によって頻度が異なる…どころか使用法も異なるであろうという面白いツールです。MPCのようなパッドを叩くパフォーマンスをする場合もこれを使います。


端的にいえば「サンプラー」です。

ドラム『ラック』なので要するに棚なのですが、棚というよりは箱のようなイメージでしょうか。なんでも放り込んで自由に取り出せる魔法の箱です。サンプラーに留まらず多様な使い方が可能です。

名前にドラムと付いているのでミスリードされてしまいそうですが、ドラム音源にかぎらず何でも放りこめます。この『ラック』という概念はLiveにおいて頻繁に登場し、非常に重要なものになっています。

関連別記事
・Ableton LiveのDrum Rackを学ぶ
http://furamika.blogspot.jp/2016/07/ableton-livedrum-rack_15.html

(4) Electric

Liveオリジナルのソフトウェア音源です。


エレクトリック(電気)なので電子音のようなイメージが先行しそうですが、音の種類としてはクラシックな音になります。

分類としては『エレピ(エレクトリックピアノ)』と言って良いのではないでしょうか。「Collision」と同じくオシレーターがありません。パラメーターの設定で音を作りこんでいくことになるので専門性が要求されます。

(5) External Instrument

直接の音源ではありません。外部音源を結合するときに使用します。

(6) Impulse

またしてもサンプラーです。


「Drum Rack」よりシンプルな構造であるのでさくっと使いたい場合に便利です。

全体的に見ればドラムラックの方が優れているように思いますが、部分部分にドラムラックにはない機能が追加されています。ストックできる音は8個になっており、MIDIキーボードを使う場合は1オクターブ分の白鍵盤(CDEFGABC)に自動的に割り当てられます。

(7) Instrument Rack

またしても『ラック』です。複数の音源を入れることができる箱になっています。

『ラック』には「インストゥルメントラック」「ドラムラック」「オーディオエフェクトラック」「MIDIエフェクトラック」の4種類があります。どれも基本的な構造としては大差ないのですが、出来ることが微妙に違ったりします。

・ラックの概念について
http://furamika.blogspot.jp/2016/07/ableton-live_37.html

(8) Operator

Liveオリジナルのソフトウェア音源です。世間一般でいうところの「FM音源」に当たります。


「FM音源」と「普通のシンセサイザー」の何が違うのかという話になるのですが、基本的な違いはありません。オシレ―ターの音を加工して音を作っていくという結果は同じです。

ただ、「FM音源」の場合はオシレーターの波長(通常はサイン波)を固定し、周波数の変化を与えることで音作りを行っていくという限定的な手法がとられています。

LiveのFM音源である「Operator」はサイン波だけでなく別の波長も扱うことができるので「FM音源」と括ってしまってよいのかどうかわかりませんが、過程を考えればFM音源とみなして良いと思われます。手法としては4つのオシレーターの波長を合成させ、それぞれの周波数を変えながら音を作っていくことになります。

難しい操作の多いLiveのシンセの中でOperatorはかなり使い勝手が良い部類です。実際のトラックメイクで使われるシンセはOperatorかAnalogくらいなのではないかと思います。

(9) Sampler

字の如くサンプラーです。Liveの目玉機能その2です。


サンプリングさえすればどんな音源でも思うがままです。好きな曲の一部を切り取って音階を与えることも簡単に行えるため、音源と呼んでもさしつかえないでしょう。できることが多い分設定できるパラメーターが膨大です。

(10) Simpler

またしてもサンプラーです。「Sampler」と一文字違いであり機能としてもほとんど同じになっているためよく混同します。違いとしては「Sampler」の方がより多機能です。「Simpler」の上位版が「Sampler」になっています。

…とは言え、Simplerが低機能ということはありません。simplerでも十分な性能が確保されています。(3)に『Drum Rackはサンプラー』と書きましたが、その読み込みに使われているのがこちらです。

(11) Tension

Liveオリジナルのソフトウェア音源です。こちらもオシレーター(基本波形)が搭載されていないため、より専門的な設定が必要になってきます。


ストリングス(弦楽器)に特化している生楽器的なシンセとなっており、ギターのプリセットが大量に入っています。
 

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