上が取扱説明書に書いてある、EMX-1のシンセサイザーの構造図(?)です。「Multi Mode Filter」の上に「フィルタータイプ・カットオフ・レゾナンス」がセットになっているのが分りますね。
この図で言うと、「Synth OSC(オシレーター)」から出た音を「Multi Mode Filter」に通すというところまで終わりました。次から第三部に入ります。
エンペローブとは音を動かす要素
第三部は「EG」と呼ばれるものです。これは「エンベロ―プ・ジェネレーター」と呼ばれます。日本語に訳すと「包絡線・装置」となるらしいですが、これだけでは全く意味が分りませんのでこの辺りはとりあえずは飛ばしてしまいましょう。EMX-1のEGは「SYNTH FILTER」部に『EG INT』というものがあり、「PART COMMON」部に『EG TIME』『AMP EG』というものがみられます。
結論から書いてしまうと、EMX-1の「EG」は『人工の音を、自然な感じにするもの』です。
例えばですが、ピアノを弾いた時の音は勝手に小さくなって(減衰して)いきますよね。どんなに強くピアノを弾いても、最初の一瞬に一番大きい(高い)音が出て次第に小さくなって行きます。最初に鳴った音が「変わらずに」いるということはありません。
しかし、人工の音・・つまり機械が作るシンセサイザーの音は違います。機械は命令を受けて動くものであるため単純に「音を出せ」という命令をしただけでは音が出るだけです。自然にある音のように「勝手に小さくなってくれる」様な気の利いたことはしてくれません。
自然にあるような音を作ろうとすれば「音を出せ」という命令に「時間経過と共に小さくなれ」という命令を付け加えなければいけないわけですが、このようなことをしてくれるのが「EG/エンベロ―プ・ジェネレーター」というものです。
「PART COMMON」部の『AMP EG』を切り替え、『EG TIME』を伸ばしたものです。
この切り替えが「自然な感じにするかどうか(EGを使うかどうか)」ということで、下の四角い方は「時間が経っても変わらない(EGを使わない)」ことを示し、上の三角形の方は「時間が経ったら変わります(EGを使う)」ということを示しています。
聴けば一発で分りますがEGを使うと自然な感じになります。これがEGの基本です。
EMX-1のEGは簡易的な「ADSR」
「SYNTH FILTER」部にある「EG INT」は、いわゆる「フィルター・エンペロープ」と呼ばれるものになります。厳密にはフィルター部からは外れるため(※構造図参照)、「SYNTH FILTER」部に入れない方が分りやすいような気がしなくもないですが、EMX-1ではこうなっています。「EG INT」はノブ下にマークが付いており、このマークは棒と1/4円形のアーチで構成されているます。これだけだといまいち意味が分かりませんが、棒をY軸・アーチをX軸とすると何となく掴めると思います。右側のマークは「最初が一番大きく、次第に音が小さくなる」ことを示しています。頭の方で挙げたピアノの音(自然の音)と同じです。
では左側はというと、「最初が小さく、次第に音が大きくなる」ことを示しています。つまり『音が一番大きくなる位置を遅らせる』ことができるというものです。イメージでは腹話術の声が遅れて聴こえる技術に近い感じでしょうか。一般できなシンセサイザーですと「アタックタイム」と呼ばれるものがこの部分に相当します。
アタックタイムが短い(EG INTを右に振る)と「カッ」とした固い感じになり、アタックタイムが長い(EG INTを左に振る)と「ふわーん」とした柔らかい感じになります。エレクトロニカのようなな浮遊感のある音を作ろうとすれば外れない要素です。
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