Roland TR-8Sの使い方⑪ インスト・トラックについて

何となく終わりが見えてきたような気がしてくる11回目です。

今回はインスト・トラックの仕組み(構造)についてやっていきます。セオリー通りであればもっと最初の方でやるべきなのかもしれませんが、DAWやリズムマシンのごく基礎的な知識がある場合はこのくらいのタイミングがベターなのではないかと思います。


インスト・トラックについて

説明するまでもないような気はしますが、インスト・トラックというのは要するに「音源(ドラム音源)」のことです。TR-8Sの中心部にある「BASS DRUM」から「RIDE CYMBAL」までの11個がそれに当たります。


TR-8S本体の表記上では 「HIGH TOM」「RIDE CYMBAL」といった種類が記載されていますが使用するKITによっては必ずしも一致するとは限りません。808や606といったトラディショナルなKITの場合は一致しますが、TR-8S独自のKITの場合は基本的に一致しません。

ただ、実際の音源の種類として異なっていてもトラックの分類はこの表記に倣って行われるため無視も出来ない部分だったりします。オリジナルのKITを作成する場合はこの辺りを覚えておく必要があるといえます。

トラックの種類は左から順に以下となっています。

・BASS DRUM(※BDとも略される)
・SNARE DRUM(※SDとも略される)
・LOW TOM(※LTとも略される)
・MID TOM(※MTとも略される)
・HIGH TOM(※HTとも略される)
・RIM SHOT(※RSとも略される)
・HAND CLAP(※HCとも略される)
・CLOSED HIHAT(※CHとも略される)
・OPEN HIHAT(※OHとも略される)
・CLASH CYMBAL(※CCとも略される)
・RIDE CYMBAL(※RCとも略される)

ちなみに、本体の線引きに倣うと以下のようなグループになります。

・BASS DRUM
・SNAREDRUM
------------------
・LOW TOM
・MID TOM
・HIGH TOM
------------------ 
・RIM SHOT
・HAND CLAP
------------------ 
・CLOSED HIHAT
・OPEN HIHAT
------------------ 
・CLASH CYMBAL
・RIDE CYMBAL

この分類については何でもないようなことですが意外に重要だったりもします。

インスト・トラックのパラメーター

TR-8Sのインスト・トラックパラメーターの基本的な構成は以下となっています。

・TUNE(音程を変える)
・DECAY(音の長さを変える)
・CTRL(色々なものを変える)
・VOLUME FADER(音の大きさを変える)

この辺りは評価が分かれるところだと思いますが、かなりの場合で『物足りない』という感じるのではないかと思います。

ボリュームフェーダーが付いているのは極めて素晴らしいのですが、それによって犠牲になってしまった部分があるのも事実でしょう。実際に他のリズムマシンではより多数のパラメーターノブが用意されている場合が多いです。

この犠牲になった部分を補っているのが中心部分にある[CTRL]ノブです。


今回の話の焦点はまさにここと言えます。これをいかに上手く使えるかでTR-8Sのトラックメイクの質や効率が大きく変わってきます。

・CTRLノブの役割と機能について

TR-8Sの[CTRL]には原則的に以下の機能がアサインされています。

・OFF(CTRLノブを無効にします)
・Pan(音を左右に振ります)
・Reverb Send(リバーブに対するアサイン量を決めます)
・Delay Send(ディレイに対するアサイン量を決めます)
・LFO Depth(LFOの強さを決めます)
・Inst FX(トラックにアサインされている個別のエフェクト)
・User(※次の項目でやります)

インスト・トラックの種類によってはアサインされているパラメーターがもう少し多かったりもします。BDだとATTACKがあったりしますね。

これだけの機能がこのノブひとつにアサインされていることを考えれば如何に重要なのかが伝わってくると思います。個人的にはPANが独立してくれていると嬉しかったのですが…。

CTRLノブにアサインされている機能を切り替える場合は[CTRL SELECT]を押します


この状態で[VALUE]を使えばパラメーターの切り替えが可能です。

また、CTRLノブの全体のコントロール状態を確認する場合はミキサー画面を呼び出すことで可能になります

<TR-8Sのミキサー画面を呼び出す>
[SHIFT]ボタンを押しながら[CTRL SELECT]ボタンを押す

この操作はTR-8Sにおいて最重要と言っても過言ではありません。

ミキサー画面を呼び出したら[VALUE]ノブで画面を切り替えることが可能になり、以下パラメーターについてインスト・トラック全体がどのような状態になっているのか確認することができます。

・Level(※)
・Tune(※)
・Decay(※)
・Pan
・RevSend
・DlySend
・LFO Depth
・Gain

語尾に(※)と付いているものは『VALUEを使わなくても切り替えが出来るもの』を示しています。これについては実際に触れば理解できると思います。どのトラックでも良いのでVOLUME FADERやTuneに触るとミキサー画面が切り替わることが確認できます。

インスト・トラックのCTRLパラメーター操作については以下の2つのやり方があります。

(1)ミキサー画面上から[ENTER]と[VALUE]を使って操作する
(2)各トラックの [CTRLノブ]を使って直接操作する

(1)のやり方は手間がかかるだけなので無視してしまって問題ないでしょう。

(2)については、例えばですがミキサーの表示がGainになっている状態でBDの「CTRL」ノブを右に回すとBDにゲインがかかって音が大きくなります(※大きくしすぎると音が割れるので気をつけてください)。

各トラックのパラメーターが具体的にどのような状態になっているかどうかはこのミキサー画面を通さないと確認が出来ません(ボリュームはフェーダーを見れば分かりますが)。重要な操作なのでしっかりと覚えておきたいところです。

・CTRLノブにおける[User]について

結論から書きますと、CTRLノブにおけるUserの役割は「ショートカット」です(公式マニュアルだとこの辺の説明が分かりにくい)。『頻繁に使うパラメーターを設定して操作を楽にしてくださいね』というローランド側の有難い配慮と言えます。

Userに設定できるものは他の設定項目である[Pan][Reverb Send][Delay Send][LFO Depth][Inst FX]の中から選ぶことになります。特別にアサインできるパラメーターが存在するようなものではありません。

ちなみにですが、初期設定状態のKITでは大部分の[User]が[Inst FX]に設定されているため、User表示の状態でCTRLノブをいじるとInst FXが変化します。

User領域に何がアサインされているかは以下の操作で確認できます。

<User領域にアサインされているパラメーターを確認する>
 [CTRL SELECT]ボタンを押しながら、[BD]~[RC]ボタンを押す

[CTRL SELECT]→[User]から確認することも出来なくはありませんが、このやり方だとパラメーターを動かさないと何がアサインされているのか表示されないので不便です。

・トラックにアサインされているInst FXを変更する

Inst FXの詳細についてはもう少し先に書く予定だったりする部分ですが、せっかく登場したので変更方法についてだけ補足しておきます。

インスト・トラックにアサインされているInst FXを変更する操作は以下となっています。

<インスト・トラックのInst FXを変更する>
① [SHIFT]ボタンを押しながら[INST]ボタンを押すと、INSTエディットモードに入る(※INSTボタンが緑色に点灯する)
② [VALUE]ノブで『TYPE』を選んで[ENTER]を押すと、エフェクト選択画面になる

[INST]ボタンはここにあるやつですね。


インストエディットモードに入っている状態で各インスト・トラックを選択すると対象トラックを切り替えることが出来ます。
 

インスト・トラックの基本情報についてはこんな感じでしょうか。他にもボリュームフェーダーのカラーリング設定等もあるのですが…これはまた違う機会にまとめて書いていきたいと思います。
 

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