打ち込みの順序については『一般的にこのようになるだろう』というものを想定しているので参考にならないことは無いはずです。
①作成領域を呼び出す
まずはフレーズを作る場所を呼びだしましょう。工場出荷状態のTR-8Sではバンク⑥の頭部分までプリセットデータが入っていますので、ここでは例としてバンク⑦のパターン①を呼び出すことにします。
<バンク⑦のパターン①を呼び出す操作>
①「PTN SELECT」を押しっぱなしにする
②シーケンサーが(1)~(8)まで点灯するので、(7)を押してから「PTN SELECT」から指を離す(※バンクを選択する操作がこれ)
③シーケンサーが(1)~(16)まで点灯するので、(1)を押す(※パターンを選択する操作がこれ)
バンクとは16個のパターンの集合体です。ひとつのバンクの中に16個のパターンがあるとも言えますね。TR-8Sではこのバンクが8個用意されているので、8×16=128個のパターンを内蔵することが可能になっています。
ちなみに「PTN SELECT」を一回押しただけだと同バンク内でのパターン選択になります。
②キットを選ぶ
打ち込む場所が決まったら次は使うキットを選びましょう。キットはドラムトラックのセットパッケージのことです。有名どころで言えば808や909といったものです。ちなみにTR-8Sには約90個ほどのキットがプリセットとして用意されています。
キットを選ぶ(変更する)操作は以下の2つです。
<キットを設定(変更)する方法(1)>
① [SHIFT]を押しながら[PTN SELECT]を押す
② [VALUE]ノブを回して液晶画面の表示を[Number]にする
③ 液晶が[Number]になったら[ENTER]を押す、これでキット選択モードになる
④ キット選択モードになったら[VALUE]ノブを回して欲しいキットを探す
⑤ 使うキットが決まったら[PTN SELECT]を押して終了する
<キットを設定(変更)する方法(2)>
① [KIT]ボタンを押す
② [VALUE]ノブを回して選択する
(2)の方が格段に楽ですね。また、キットのアサインはパターン単位で行われます。
書く必要もないかもしれませんが、ここで言う「トラック」というのは一般的に言われる曲のことではなくそれぞれのキットに入っている音色のことを指します。
③キットのトラックを確認する
キットを選んだらその中にあるトラックの音を確認する必要があるでしょう。トラックの音を確認する方法はいくつかありますが、もっともオーソドックスなのはTR-8Sを演奏モードにすることです。演奏モードというのは『録音することなく自由に叩ける状態』のことですね。この状態でもシーケンサーを動かすことは出来ますがイメージとしては普通の楽器と変わりません。
TR-8Sを演奏モードにする操作は以下です。
<TR-8Sを演奏モードにする>
[INST PLAY]ボタンを押す
この状態になるとシーケンサーがドラムパッドの役割を果たすようになりますので、それぞれを叩くことでトラックの音が確認できるようになります。シーケンサーの点灯カラーがそれぞれのトラックとリンクするので非常に分かりやすいです。
注意点として『キット選択状態に入ると演奏モードへの切り替えが出来ない』ということがあげられます。
実際の作業としては「キットを変更する」「パッドを叩いて確認する」という作業を交互に行いながらキットを決めていく場合が多いと思われます。TR-8Sでこれを行う場合は事前にTR-8Sが演奏モードへ入っている必要があります。
例を出して説明しますと『TR-8Sがステップシーケンサーモードの場合において、キット選択状態に入ってから演奏モードへ切り替えてトラックの音を確認する』ということは出来ないということです。
よく分からない場合はとにかくTR-8Sを演奏モードにしておけばOKです。
④バリエーションを打ち込む
バリエーションというのは、各パターン内にあるA~Hまでの8個の要素のことです。TR-8S最下部にある(1)~(16)までのシーケンサーがこのバリエーションとリンクしています。つまり、1つのパターン内で16ステップ×8バリエーション=128ステップまでの長さのフレーズが作れるということですね。
フレーズを打ち込む場合はステップ入力かリアルタイム入力の2つのやり方があります。ステップ入力の場合は「TR-REC」、 リアルタイム入力の場合は「INST-REC」を選べばOKです。
<ステップ入力モードにする>
[TR-REC]ボタンを押す(※ONになれば赤く光ります)
<リアルタイム入力モードにする>
[INST-REC]ボタンを押す(※ONになれば赤く光ります)
この辺りはリズムマシン未経験であっても触っていけば感覚で理解できる部分だと思います。
打ち込みに対する補足内容として、打ち込みをしたいバリエーションを固定しておくやり方についても説明しておきましょう。例を出せば『バリエーションAとBを交互にループ再生させつつも、常にステップシーケンサーはバリエーションBにする』…といった場合です。
このような作業がやりたい場合は以下の操作を行います。
<打ち込みをしたいバリエーションを固定する>
[TR-REC]を押しながら打ち込みたいバリエーションを選択する
ちなみにこれは再生対象外のバリエーションへ打ち込む場合でも有効です。
例をあげれば『バリエーションA~Dをループ再生しながら、新しいフレーズをバリエーションEに打ち込んで作る』ような作業ですね。この状態だと指定したバリエーションが濃い目の黄色に点灯します。
⑤バリエーションをコピーする
ある程度バリエーションの打ち込みが進むと「打ち込んだものを複製する作業」が出てきます。この場合の操作は以下です。
<バリエーションをコピーする>
①[COPY]ボタンを押す
②[VALUE]つまみで「Variation」を選択して[ENTER]を押す
③[VALUE]つまみでコピー元のパターンを選択して[ENTER]を押す
④[VALUE]つまみでコピー元のバリエーションを選択して[ENTER]を押す
⑤[VALUE]つまみでコピー先のパターンを選択して[ENTER]を押す
⑥[VALUE]つまみでコピー先のバリエーションを選択して[ENTER]を押す
⑦コピーする場合は「OK」を選択して[ENTER]、キャンセルする場合は「Cancel」を選択して[ENTER]
ちなみに④と⑥のバリエーション選択においては [VALUE]ノブではなく、TR-8S本体にあるA~Hのバリエーションボタンから選択することができます。
作業手順としては長いですがTR-8Sの液晶画面にアナウンスが表示されるのでそれに従えばマニュアルを見ずに操作することは可能です。
⑥バリエーションを再生する
これについては特に書くことがありませんが、複数のバリエーションをループ再生させるやり方だけ記載しておきます。<複数のバリエーションをループ再生させる>
起点となるバリエーションボタンを押しながら、ループ再生したいバリエーションボタンを押す(※複数選択可能)
要するに、バリエーションAを押しながらB、C、D、E、F、G、Hと押していけば全てのバリエーションをループ化できるということです。
注意点としては、A→E→Gといった順番のループは出来ても、G→E→Aといった反対方向でのループは出来ないことがあげられます。
⑦バリエーションをアレンジする(パターンの自動生成)
バリエーションのアレンジ…と言ってしまうとあまりにも幅が広くなってしまうので、ここではTR-8Sにおいて重要だと思われる「ランダムパターンの自動生成」と「ステップ数の変更」について記載しておきます。バリエーションを自動生成する場合の操作は以下となります。
<バリエーションを自動生成する>
「PTN SELECT」を押しながら「SAMPLE」を押す
『バリエーションを~』と書いていますが、実際のところ自動生成の効果が出るのはパターン全体です。バリエーションA~Hまでをループ化している状態でこれを実行すると、各バリエーション全てにランダムなシーケンスが生成されます。
ここで重要になるのが「自動生成したパターンを保存する場合はステップ入力モードに切り替えないと保存ができない」という点です。自動生成は操作の関係上パターンセレクトモードに必ず入りますが、この状態から直接保存をしようとすると自動生成そのものがリセットされます。
⑧バリエーションをアレンジする(ステップ数の変更)
ステップ数を変更する操作は以下です。<バリエーション単位で変更する場合>
①LASTボタンを押す
②A~Hの中から変更したいバリエーションを選ぶ(※複数選択可能)
③シーケンサーが緑色に切り替わるので、そこで長さを変える
<トラック(音色)単位で変更する場合>
①LASTボタンを押す
②ステップ数を変更したいトラックを選ぶ(※複数選択可能)
③シーケンサーが緑色に切り替わるので、そこで長さを変える
これらはお互いに干渉し合っているので面倒な面もあります。
変更したステップ数のリセットをするには「CLEAR」ボタンを使用します。具体的な方法は以下の流れです。
<変更したステップ数をリセットする場合>
①LASTボタンを押す
②元に戻したいトラックを選ぶ(※複数選択可能)
③CLEARボタンを押す
変更する場合と最後の手順が違うだけなので感覚的には分かりやすいと思います。
⑨バリエーションを保存する
TR-8Sでは「パターンの保存」の中にバリエーションの保存も含まれます。…というわけで保存方法ですが、これは以下の操作で可能です。
<パターン(バリエーション)を保存する>
①「WHITE」を押して保存画面を呼び出す
②「VALUE」ノブで「Pattern」を選んで「ENTER」
③「VALUE」ノブで保存対象を選んで「ENTER」
ちなみにですが、①と②は『WHITEを押しながらPTN SELECTを押す』ことでショートカットが出来るようになっています。
これらが打ち込みに関する基本的な部分において覚えるべき(だと思われる)作業です。
実際のところかなり内容を省略しています。使い方①~⑧までにより詳しいことを記載していますので、可能な限りそちらも参照されるようにしてください。
<関連記事>
フィーリングで学ぶぞ!Roland TR-8Sの使い方①
最低でもファームウェアアップデートくらいはしておきたいですね。
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